金属3Dプリンター造形材料
「ステンレス鋼(SUS630)」
「ステンレス鋼(SUS630)」の特長
析出硬化型(Precipitation Hardening)ステンレス鋼は、耐食性に富むステンレス鋼に析出強化により高強度を付与した材料です。
以前から高強度ステンレス鋼は存在したが、焼入れ・焼き戻しを施す高炭素のマルテンサイト系か冷間の強加工で硬化されるオーステナイト系であり、適用範囲は限定されていたが、析出硬化型は固溶一時効の単純な熱処理で、微細な第二相を均一に析出させての分散強化するものです。
中でもマルテンサイト地を析出強化する鋼種には2,000N/mm2級の引張強さを示すものがあり、腐食環境下に於ける破壊靭性値も高いことから、高強力鋼として重要な位置を占めてます。また、オーステナイト地のものは、高温での強度低下が少ないので、耐熱鋼としても有用です。
JIS規格では、熱処理によってH900・H1025・H1075・H1150から4段階の熱処理に分けられており、H1150からH900にかけて硬度が高くなります。
「ステンレス鋼(SUS630)」の成分表
(単位:%)
成分 | C | Si | Mn | P | S | Ni | Cr | Cu | その他 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
従来材 (代表値) |
≦0.07 | ≦1.00 | ≦1.00 | ≦0.04 | ≦0.030 | 3.00~5.00 | 15.00~17.50 | 3.00~5.00 | Nb0.15~0.45 |
粉末材 (代表値) |
≦0.07 | ≦1.00 | ≦1.00 | ≦0.04 | ≦0.030 | 3.00~5.00 | 15.00~17.50 | 3.00~5.00 | Nb+Ta 0.15~0.45 |
「ステンレス鋼(SUS630)」の機械的性質
従来材 | 造形後 | (参考値) | ASTM A564M 溶体化+時効硬化 (参考値) |
|
---|---|---|---|---|
引張強さ[MPa] | 1000以上 | 水平方向(XY方向) | 770 | 1310 |
垂直方向(Z方向) | ||||
0.2%耐力[MPa] | 1000以上 | 水平方向(XY方向) | 720 | 1200 |
垂直方向(Z方向) | ||||
弾性率[GPa] | 200 | 水平方向(XY方向) | 185 | - |
垂直方向(Z方向) | 180 | - | ||
伸び[%] | 16 | 水平方向(XY方向) | 21 | 12.5 |
垂直方向(Z方向) | ||||
硬さ[HV] | 350以上 | 水平方向(XY方向) | ー | 402 |
面粗さRa [μm] | ーーー | 造形後 | ーーー | |
ブラスト後 | 7.5 |
「ステンレス鋼(SUS630)」の用途
航空機、医療、金型、治工具に使用
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