集束イオンビーム(FIB)加工
φ1ミクロン以下のナノオーダーの加工が可能
集束イオンビーム(FIB)加工は、集束させたイオンビームを加工したいワークに照射し、ワーク材料の表面の原子を弾き飛ばすことで加工する加工法です。原理は走査型電子顕微鏡と同様で、ビームは数十ナノメートルと細く照射範囲も小さいことから、数ミクロンからナノオーダーの加工を高精度・高品位に実現できます。
集束イオンビーム(FIB)加工の原理
集束イオンビーム装置(FIB)は、数十ナノメートル程度に集束したイオンビームを試料表面で走査することで発生した2次電子などを検出して顕微鏡像を観察したり、試料表面を加工したりすることができます。
FIBのイオン源にはガリウムイオンを使用しており、そのイオンビームを試料の表面に照射すると、試料表面から2次電子が発生すると共に、ガリウムイオンが電子と比較してはるかに重い事から、試料を構成する原子をはじき出すいわゆるスパッタリング現象が発生し、はじき出された原子は2次イオンとなって試料から飛び出します。これらの現象を利用することで、観察と加工を行います。
加工への応用と応用事例
試料へ照射するイオンビームの量を増やし、スパッタリングされる原子の量を増やすと試料表面をエッチング加工することができます。これによって、イオンビームが照射された部分だけ選択的にエッチングするマスクレス加工を実現できます。
これらの技術を応用することで、試料の断面を露出させて観察する断面観察加工や、さらに試料を薄片として取り出すTEM試料製作加工、またイオンビームの集束径が数十ナノメートル程度と非常に小さいため、φ0.5マイクロメートル以下の孔加工や、幅0.5マイクロメートル以下のスリット(溝)加工などのサブミクロンオーダーの加工を行うことができます。
特長
高プローブ電流による高速、大面積加工が可能です。
2次電子像分解能 5nm以下
ビーム照射領域のみを選択的にエッチングするマスクレス加工が可能。マスク製作の工程を省き、コストダウンのメリットが期待できます。
3D再構築解析により加工経過や状況を観察機能を、FIB装置に搭載。加工中に発生する課題もこれにて解決します。
φ0.5µm 多孔加工(SUS t2µm)
φ5µm加工(SUS t5µm)
工具への微細加工(ZrO2)
微細加工(Si)
主な加工仕様
最大ワークサイズ | 50(X)×50(Y)×10(Z)mm |
---|---|
最小加工サイズ(目安) | 溝幅:100nm、孔径:φ100nm (溝・孔ともに、~L/D=5) |
アスペクト比 | 5~6 |
対象材料 | 各種金属、導電性セラミック |
集束イオンビーム(FIB)加工の活用例
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