レーザー加工の種類とは?加工法・レーザー媒質の種類・レーザー微細加工における種類について解説

レーザー加工は様々な場面で利用されていますが、目的・加工する素材によっても様々な種類があります。ここでは、一般的なレーザー加工の「加工の種類」、「使用するレーザーの種類」、及び微細加工に特化した際のレーザーの種類というテーマで紹介します。
レーザー加工の加工の種類
レーザー加工の種類には大きく4つの分類に分けることができます。
①除去加工
レーザーのエネルギーで材料を溶融・蒸発させて切断・孔あけ・彫刻等を行う加工のことです。
A:微細孔あけ
微細な孔をあける加工で、瞬間的に高出力レーザーを照射して加工対象物に孔をあけます。比較的高アスペクト比の孔も加工可能です。ノズルやフィルター、医療機器などに利用されます。
B:切断加工
材料をレーザーで溶融・蒸発させて切断します。高速・高精度で金属・樹脂・紙等の材料の自由度や、板厚の自由度があります。アシストガス(酸素、窒素等)を併用することで切断品質が向上します。
C:彫刻
レーザーを材料表面に照射して表面を削り、凹凸を形成することで、文字や図形、模様等を刻印できます。彫刻は後述のレーザーマーキングに比べ深い加工となります。
②接合加工
レーザーの熱で材料を溶かし、2つ以上の部材を接合する方法のことです。同じ種類の金属だけでなく、金属の種類によって異なる種類の金属同士も接合できます。
A:レーザー溶接
レーザー光を集光して材料を局所的に溶融して金属同士を接合させます。熱影響が少なく、精密で高精度な溶接が可能です。
B:レーザーロウ付け・はんだ付け
使用する金属母材よりも融点が低い合金(ろうやはんだ)を溶かして金属同士を接合します。一般的にろう付けの方が接合部の強度が高く、高温にも耐えることができます。
③改質加工
レーザー光を材料の表面に照射し、レーザーの熱で急激に加熱・冷却を行うことで組成や組織を変化させて材料表面の性質を向上させる方法のことです。
A:レーザー焼き入れ
レーザー光を材料表面に照射し、局所的に加熱・急冷することで表面を硬化させる熱処理技術のことです。熱処理による焼き入れと比較して歪みが少なく、冷却工程が不要というメリットがあります。
B:レーザーアニーリング
レーザー光を材料表面に照射し、材料を加熱・冷却して組織や物性を改質する熱処理技術です。材料の内部応力除去などを通じて性質を改善します。
C:レーザーマーキング
レーザー光を照射して表面を彫り込んだり、表面の色を変色させることで文字・模様を刻印します。表面の色を変色させる場合は、除去加工とは異なり、表面を削らず非接触で摩擦がないため、材料のダメージや加工カスが抑制できます。
④変形加工
レーザーの局所的な熱で材料を熱変形させる方法のことです。
A:レーザーフォーミング
レーザーの光を金属板等の材料に照射させ局所的な熱応力(塑性変形)を利用して、変形・曲げる方法のことです。金型が不要で、多品種少量生産に適しています。
レーザー加工で使用するレーザーの種類
ここでは、レーザー加工機に用いられる代表的なレーザーの種類について紹介します。レーザーは媒質、パルス間隔、波長によって種類分けされます。それぞれ、レーザーの波長や出力・加工できる適用材料が異なります。
レーザー加工での媒質の種類
レーザーの分類方法の一つとして、レーザー加工で用いられるレーザー光は発振媒質による分類があります。媒質はレーザー光を発生させる中心的な要素でさまざまな種類があります。
①固体レーザー
固体の結晶やガラスを発振媒質として使用するものを言います。レーザー加工では非常に広く利用されており、微細加工の観点でメリットがあります。
【代表例】
YAGレーザー、サファイアレーザー
【特長】
- 高出力・高エネルギー密度→
微細加工に必要な高いピークパワーを得られる - 優れたビーム品質→
ビームの収束性が高く、微小スポットサイズの照射が可能なため微細形状を加工可能 - 安定した動作と長寿命→
発振媒質が固体なため、機械面で安定し長時間運転にも耐えられる - 波長が選択可能→
基本の波長(1064nm)以外も周波数変換が可能(緑:532nmや紫外線:355nm等) - パルス制御が容易→
ナノ秒、ピコ秒、フェムト秒など、時間幅の異なるパルス制御が可能
尚、近年レーザー加工分野で普及しているファイバーレーザーも固体レーザーの一種です。ファイバーレーザーの特長として、高いビーム品質、高効率・低消費電力、コンパクト、高繰り返しで短パルス制御が可能、多様な材料に対応可能などがあります。微細加工にも適しています。
②気体レーザー
気体を用いた発振媒質です。特定の波長や特性を持つレーザー光を発生させることができます。レーザー加工では、非金属材料の加工、微細加工、表面処理に幅広く活用されています。
【代表例】
CO2レーザー、エキシマレーザー、He-Neレーザー
【特長】
- 特定波長の発振が可能→
気体の分子・原子の遷移に基づく発振のため、特定波長で安定している(例:CO2レーザー:1064nm、エキシマレーザー:193nm(ArF)) - 高吸収性の波長が得られる→
紫外線(UV)や赤外線(IR)など材料に対し吸収率の高い波長を得られる - 広い加工範囲に対応→
CO2レーザー:非金属の切断・彫刻が得意
エキシマレーザー:表面改質や薄膜除去が得意でナノレベルの加工に適する
③半導体レーザー
半導体レーザーはレーザーダイオードとも呼ばれ、半導体素子に電流を流すことでレーザーを発生させるデバイスのことです。レーザー加工において単体で加工に使われることは少なく、用途は限定的ですが、補助的役割(励起光源)や低出力用途で活用されています。
【特長】
- 出力が低い
- ビーム品質に劣る(発散角が大きい・集光性が低い)
- 発振効率が高い
- 応答速度が非常に高速(GHz帯)
上記より、加工用途では、固体レーザーやファイバーレーザー、気体レーザーの方が主流となります。

レーザー加工でのパルスレーザーの種類
レーザーの分類方法として、レーザーをパルス(短い時間の光の塊)照射する時間の違いによる分類があります。
レーザー加工でのパルスとは、レーザー光を短い時間間隔で断続的に照射する方式のことです。パルス幅の違いにより、複数のパルスレーザーが存在します。特に微細加工では、パルス幅の違いが加工精度・熱影響・材料除去のメカニズムに大きく関わります。パルスレーザーのメリット・デメリットや種類について紹介します。
レーザー方式:
- 連続波(CW):連続的にレーザーを照射する方式 安定出力が可能
- パルスレーザー:断続的にレーザーを照射する方式 ピーク強度が高く、微細加工やマーキングに適する
パルスレーザーのメリット:
- 微細加工
パルス幅が短い程、熱影響を抑制した精密加工が可能 - 加工速度向上
短時間で高エネルギーを照射可能で加工速度向上 - 幅広い対応材料
材料の種類や厚さに応じて、最適パルス幅を選択可能
パルスレーザーのデメリット:
- 加工量
パルス幅が短い程、加工量が少ない - コスト
一般的にパルス幅が短いレーザーほど、発振器が高価になる傾向
レーザーのパルス幅の種類:
- マイクロ秒レーザー:パルス幅がマイクロ秒(10-6秒)程度
- ナノ秒レーザー:パルス幅がナノ秒(10-9秒)程度
- ピコ秒レーザー:パルス幅がピコ秒(10-12秒)程度
- フェムト秒レーザー:パルス幅がフェムト秒(10-15秒)程度

レーザー加工での微細加工では、材料への熱影響を最小限に抑えることが非常に重要です。そのため熱拡散が起こる前に加工を終えることができるパルス幅の短いレーザー加工が広く用いられています。
超短パルスレーザーとは:
【パルス幅】
ピコ秒やフェムト秒の極めて短いパルス幅のレーザーを指します。
【原理】
材料にレーザーを照射すると、熱が周囲に広がる前に材料を分子や原子レベルで瞬時に蒸発・除去します。この現象を「アブレーション」と呼びます。
【特長】
- 熱影響が極めて少ない(非熱加工)
周囲に熱が伝わらないため、バリや溶融痕、マイクロクラック(微小なひび割れ)の発生を抑制、高品質な加工が可能 - 多様な材料に対応
熱に弱い樹脂やガラス・セラミックス・シリコンなどの脆性材料も綺麗に加工できる - 高精度加工
非常に高いエネルギー密度をピンポイントで照射できるため、サブミクロンレベルの微細な加工が可能
東レ・プレシジョンではこれら超短パルスレーザーを用いた高精度な微細加工の受託加工を行っています。金属以外の材料、ガラス・セラミックス・シリコン等の脆性材料も対応しております。微細な加工を高精度に加工したい等ありましたらお気軽にご相談下さい。
まとめ
レーザー加工の種類というテーマで紹介してきました。レーザー加工はその種類ごとに異なる特徴を持ち、用途に応じて最適な選定が求められます。特に微細加工では、パルス幅や波長の違いが加工精度に影響します。
レーザー技術の進化は、精密加工の限界を次々と打ち破りつつあります。東レ・プレシジョンにおいても、こうした技術革新を取り入れ、より高度な加工ソリューションの提供を目指してまいります。
高精度で精密な加工をしたい等ありましたらお気軽にご相談下さい。
